野菜が好き、Jazzが好き、女性が好き、旅が好き。
人前は苦手、だから小説家でよかった。
でも小説家はそんなに好きじゃない。
村上春樹という不思議なおじさん...。
ー秘書ほそかわの家ー
(ほそかわがニコニコしながらなにかを読んでいる)
ほぉ。
オムレツ専用のフライパンとな...。
59歳にして、トライアスロンをバリバリこなすとは。
村上春樹恐るべしですな。
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この記事は、『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』を参考にして書いています。
最新のムラカミ情報満載!! の「村上ラヂオ」第三作。
雑誌アンアン連載中は、“猿もカモシカも狸も、わざわざ山を下りて「アンアン」を毎週買いに来た"というほどの人気ぶり、とか。 くれぐれも読み逃しのないよう、よろしくおねがいします。
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「献欲機」を街に置こう
村上春樹は日頃から、今はないけどこういうのがあったらいいなと、考えを巡らせるのが好きなようで...。
その中の一つが、献欲機。
献欲機の発端は、サイクリングマシンにまで遡る。
サイクリングマシンとは、自転車を漕ぐ動きをその場で延々とやる為の機械だ。
村上春樹はダイエットも兼ねて、このマシンを使うことが多い。
いつものようにサイクリングマシンを漕いでいる時、ふとこんなことを思った。
「これを発電に使えないだろうか?」
かれの考えはこうだ。
まず、街中の至る所にサイクリングマシンを置く。
なにかエクササイズをしたいなと思っている人がこれを漕ぐ。
発電。
「ボランティアをする人が居るんだから、自分の為にもなるこの機械なら多くの人がやってくれるんじゃないだろうか。これで電気不足も解消だ!」
彼の考えはさらに発展する。
「性欲もこういう風に出来たら良いのに...」
若い男性(女性もかな)の性欲は、いかんともしがたく、無駄にするのはもったいない。
そこで、街中に「献欲機」とうものを設置。
中には綺麗なお姉さんが居て、
「それでは抜きますよー」
という合図とともに、(どういう原理か分からないが)性欲を電気に変えてくれる。
「だれかこんなの作ってくれないかなぁ」
と思う村上だったが、サイクリングマシンも、献欲機も、どちらも実現には至っていない。
村上春樹にとってのJazz
村上春樹はJazzが好きだ。
『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』の中にもJazzに関連する話はたくさん出てくる。
海外旅行に行くと必ず古レコード屋に行って何十枚もレコードを買っては、奥さんに怒られてしまうとか。
24才から32才まで、Jazzを聞かせる店をやって暮らしていたとか。(客商売は自分に向いていないと思ってやめた)
村上春樹がJazzに出会ったのは、18才頃のことだ。
その頃、Jazzは全く人気がなく、
「Jazzが好きなんだ」と言っても、共感は得られなかったし、
コアなファンだけで楽しむ先鋭的なものだった。
村上は、
「みんなが知らないものを好んで楽しむ自分」
というものがなんかかっこよかったりして、好きだったらしいが。
その頃のJazzというのは、
「前のめり」になって聞くものだったと、村上は言う、
「よし!! Jazzを聞くぞ!!」
と意気込んで、Jazzの持つエネルギーにこっちのエネルギーもぶつけていく。
そうやって聞くものだった、Jazz。
でもいつのころから、カフェやレストランでよくJazzが流れていることに村上は気付く。
それもいきなり、
「あっ、Jazzだ!!」
と気がつくことは少なく、ふと、
「これJazzじゃないか?」
と分かることが多いらしい。
今の日本人の多くが認識する「Jazz」とは、
昔のような、先鋭的で少し尖ったようなJazzではなく、
穏やかで、コーヒーを飲む時にそっと寄り添ってくれるような、
そんなJazzだと、村上はいう。
彼はこのことを、
「Jazzが伝統芸能化した」、と表現する。
あるモノが、人気を獲得し、多くの人の中で共有され揉まれていくうちに、
段々と角が取れて丸くなっていく。
そうして穏やかになったものは、また、多くの人の心に沁み入りやすくなる。
それが好まれるものだから、そのモノはさらに優しくなっていく。
「おれも伝統芸能化してるのかもな」
村上春樹はポツリと言った。
「昔のような熱いJazzを聞きたい」
村上がそれを求める時、彼はアメリカにあるお気に入りのJazzクラブに行く。
(かっこいい)
そこで演奏される、若いJazz奏者のエネルギッシュな音楽を一日中浴びて、
彼は改めて認識するのだ。
「Jazzはやはりこうでないと!!」
男がオムレツを作る最高のシチュエーション
「それはやはり情事のあとだ」
村上は照れながら言った。
村上の、オムレツに懸ける情熱はすごい。
TVで、あるホテルの料理長がきれいなオムレツを焼き上げる姿に、
村上は村上は衝撃を受けた。
「男ならあんなオムレツを作れなきゃだめだ!!」
彼はそう思った。
その料理長が、きれいなオムレツを作るのに最も大切なことは、
「オムレツ専用のフライパンを作ること」
と言っていたのを思い出して、村上は早速それにとりかかった。
オムレツ専用のフライパンを作るのはそう簡単なことではない。
まずオムレツを作るのに適した大きさのフライパンを用意する。
それからそのフライパンで炒め物をして、
そのあと揚げ物をする。
そうやって徐々にフライパンに油を馴染ませていき、
ようやくオムレツ専用のフライパンが出来上がる。
「これをオムレツ専用のフライパンにする」
と決めた日から、そのフライパンはオムレツ以外に使ってはいけない。
どんな小さなよごれでも、オムレツの生地はそれに引っかかってしまい、
きれいなオムレツは出来ない。
赤ん坊を抱きかかえるように、
慎重に油を馴染ませていき、その状態を失わないように優しく接する。
最高のオムレツ専用のフライパンを作る為には、
相当の苦労が要るのだ。
話は変わり、「どんなシチュエーションがオムレツを作るにはベストか」
そんなテーマについて、村上は語り出した。
「それはやはり情事のあとだろう」
ここにも村上の強いこだわりがある。
(そのほとんどが妄想なのだが)
朝、女はまだ寝ている。
部屋には、カーテンからこぼれた柔らかな光が降り注ぐ。
男はそっとベッドを離れると、タンクトップにボクサーショーツという格好でキッチンに立った。
彼は手際よくコーヒーの準備を済ませると、
おもむろに卵を割り、ジュッという音とともにオムレツを焼き始めた。
女もようやく起き出してきた。
男物のストライプのシャツを羽織り、まだぼんやりしながら彼の方を見る。
男は言う。
「朝ご飯食べる?大したものはないんだけど、ほうれん草のオムレツとトーストならできるよ」
女はまだ寝ぼけているが、オムレツのいいにおいがはなをくすぐる。
「じゃあたべようかな」
どうやらコーヒーも出来上がったようだ。
焼き上がるきれいなオムレツ。
席に着くふたり。
ステレオからはモーツァルトが流れている。
よいですな。
村上春樹自身は、まだこういうシチュエーションに出会ったことはないらしいけど。
私もオムレツ専用フライパン作ろうかな...。
コアなファンだけで楽しむ先鋭的なものだった。
村上は、
「みんなが知らないものを好んで楽しむ自分」
というものがなんかかっこよかったりして、好きだったらしいが。
その頃のJazzというのは、
「前のめり」になって聞くものだったと、村上は言う、
「よし!! Jazzを聞くぞ!!」
と意気込んで、Jazzの持つエネルギーにこっちのエネルギーもぶつけていく。
そうやって聞くものだった、Jazz。
でもいつのころから、カフェやレストランでよくJazzが流れていることに村上は気付く。
それもいきなり、
「あっ、Jazzだ!!」
と気がつくことは少なく、ふと、
「これJazzじゃないか?」
と分かることが多いらしい。
今の日本人の多くが認識する「Jazz」とは、
昔のような、先鋭的で少し尖ったようなJazzではなく、
穏やかで、コーヒーを飲む時にそっと寄り添ってくれるような、
そんなJazzだと、村上はいう。
彼はこのことを、
「Jazzが伝統芸能化した」、と表現する。
あるモノが、人気を獲得し、多くの人の中で共有され揉まれていくうちに、
段々と角が取れて丸くなっていく。
そうして穏やかになったものは、また、多くの人の心に沁み入りやすくなる。
それが好まれるものだから、そのモノはさらに優しくなっていく。
「おれも伝統芸能化してるのかもな」
村上春樹はポツリと言った。
「昔のような熱いJazzを聞きたい」
村上がそれを求める時、彼はアメリカにあるお気に入りのJazzクラブに行く。
(かっこいい)
そこで演奏される、若いJazz奏者のエネルギッシュな音楽を一日中浴びて、
彼は改めて認識するのだ。
「Jazzはやはりこうでないと!!」
男がオムレツを作る最高のシチュエーション
「それはやはり情事のあとだ」
村上は照れながら言った。
村上の、オムレツに懸ける情熱はすごい。
TVで、あるホテルの料理長がきれいなオムレツを焼き上げる姿に、
村上は村上は衝撃を受けた。
「男ならあんなオムレツを作れなきゃだめだ!!」
彼はそう思った。
その料理長が、きれいなオムレツを作るのに最も大切なことは、
「オムレツ専用のフライパンを作ること」
と言っていたのを思い出して、村上は早速それにとりかかった。
オムレツ専用のフライパンを作るのはそう簡単なことではない。
まずオムレツを作るのに適した大きさのフライパンを用意する。
それからそのフライパンで炒め物をして、
そのあと揚げ物をする。
そうやって徐々にフライパンに油を馴染ませていき、
ようやくオムレツ専用のフライパンが出来上がる。
「これをオムレツ専用のフライパンにする」
と決めた日から、そのフライパンはオムレツ以外に使ってはいけない。
どんな小さなよごれでも、オムレツの生地はそれに引っかかってしまい、
きれいなオムレツは出来ない。
赤ん坊を抱きかかえるように、
慎重に油を馴染ませていき、その状態を失わないように優しく接する。
最高のオムレツ専用のフライパンを作る為には、
相当の苦労が要るのだ。
話は変わり、「どんなシチュエーションがオムレツを作るにはベストか」
そんなテーマについて、村上は語り出した。
「それはやはり情事のあとだろう」
ここにも村上の強いこだわりがある。
(そのほとんどが妄想なのだが)
朝、女はまだ寝ている。
部屋には、カーテンからこぼれた柔らかな光が降り注ぐ。
男はそっとベッドを離れると、タンクトップにボクサーショーツという格好でキッチンに立った。
彼は手際よくコーヒーの準備を済ませると、
おもむろに卵を割り、ジュッという音とともにオムレツを焼き始めた。
女もようやく起き出してきた。
男物のストライプのシャツを羽織り、まだぼんやりしながら彼の方を見る。
男は言う。
「朝ご飯食べる?大したものはないんだけど、ほうれん草のオムレツとトーストならできるよ」
女はまだ寝ぼけているが、オムレツのいいにおいがはなをくすぐる。
「じゃあたべようかな」
どうやらコーヒーも出来上がったようだ。
焼き上がるきれいなオムレツ。
席に着くふたり。
ステレオからはモーツァルトが流れている。
よいですな。
村上春樹自身は、まだこういうシチュエーションに出会ったことはないらしいけど。
私もオムレツ専用フライパン作ろうかな...。
まとめ
実は私、村上春樹の作品はほとんど読んだことがないんです。
実は私、村上春樹の作品はほとんど読んだことがないんです。
一つだけ読んだことがあるのは、
『7番目の男』という、おそらくみなさんが知らないであろうマイナーなもの。
そんな村上初心者な私でも、『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』はとても楽しい本でした。
「村上春樹は一体どんな人なのか」
本作に書かれた50ほどのエピソードは、村上春樹という人物が持つ不思議な空気を私たちに教えてくれます。
自分のことを暇人だと言う彼が日頃から抱く疑問や考えは、とても新鮮で、鋭く、それでいて暖かい。
この本はきっと、私のような村上初心者ではなく、村上玄人の方が読んだほうがおもしろいかもしれません。
みなさんが愛する小説家・村上春樹と、一人の人前が苦手なおっさん・村上春樹。
そのギャップがきっとあなたの心をくすぐるはずです。
『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』
休みの日に、パラパラと読みたくなる、
そんな極上の暇つぶしを提供してくれる一冊に仕上がったと思います。
おわり
今日も読んでくれてありがとうございます。
村上春樹は本物のラヂオには出たことがないらしいです。
お願い
面白い漫画、オススメの小説、どんなものでもどんなジャンルでも読むので、教えて頂けると嬉しいです。
コメント、twitter、Facebook、どっからでも良いので、反応くれるとすごくすごく嬉しいなぁ。
ちなみにキャラ投票も細々とやってます。
(PCはサイドバー、スマートフォンは一番下かな?よければ投票してください)
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